騙すなら墓場まで



 そこで俺は奴が絶対に逃げられないよう、とある日を指定した。


 ──得留、しかしその日は……

 ──娘の晴れの日です、絶対に出席するはずです

 ──……わかった、その日にしよう


 上司はまだ何か言いたげだったが、内心は俺と同意見だったのだろう。決行の日は結婚式に決まった。

 確かあの人にも娘さんがいたな。

 俺はふと思い出したが、すぐに作戦の手筈を整えるために式場の案内図を手にした。どこに何人配置するかをこれから調整しなくてはならない。

 それと同時に結婚式の準備もだ。


 ──伊月さん、伊月さんはどっちのドレスが良いですか?


 無邪気にはしゃぐ彼女に、俺は目をすがめる。


 ──もっと嫌な人なら良かった

 ──え?

 ──もっとシンプルなのを試してみても良かったのでは?


 心からの言葉は拾われず、俺はそれらしい提案を彼女に伝える。ネクタイがなぜか息苦しかった。



 そして、その日はやってきた。


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