④ 螺旋


「心配になるだろ、前回ない技繰り出されたら」
「技って」

横浜関内のユーメのアパート
妙な空気と女の溜め息と男の匂いが室内に広がる

「お前、本当に・」
「うるさいな、チョッパヤ男!」
「・・・ちょ、ちょ、ちょっぱ」
「当たり前でしょ、なんで本当の前にいっちゃうのよ!」
「いや、だからお前の奥義が」
「奥義じゃないわよ。ただペロペロしただけでしょ」
「いや、お前が成長したんだ。俺の知らないところで!勝手に」
「なんで、そんなに早いのよ!」
「だって俺、今日のために4日も我慢して・・」
「だからじゃないの。敏感になって」
「でもお前の舐めずりは、今までなかったのに」

沈黙と深い眉間のハタチ

「なんで我慢してくれないの」
「我慢してるよ」
「それで、あれなの」
「そうだよ」
「この前なんて2分だったし」

少し頭に血が昇る、男

「そういうこと言うなよ」
「今日なんてまだ」
「もう一回」
「うん、でも早すぎるし」
「次は大丈夫だから」

戯れもなしに目的のみを達成する、2人

「なんで4分なのよ」
「計るなよ!ふざけんなよ」
「前の人はもっと」
「そういうこと言うなよ!」
「だって」
「そういうこと言うなよ!じゃあ、そいつのとこ行けばいいじゃないか!」
「ユー君のほうが好きだし」
「じゃあ」
「でも、」
「言うなよ!」
「・・・・」

しばしの隙を置いて
ユーメが切り出す

「そいつは長かったのか・・」
「20分とか30分とか、」
「あーむかつく!マジ、コイツむかつく」
「ごめん。でも私もほんとに結構悩んで」
「クソ、お前ホントに浮気してるんじゃないのか」
「なんでそうなるのよ!」
「ふざけんなよ!早いだなんだの!前の男はどうとかマジで失礼だかんな!」
「だって、もう少し」
「俺だってできるだけ、頑張って」
「下手くそだけどね」
「ふざけんな!クソっ!まじ許さねーぞ!お前!」
「下手だし、早いし!」

テーブルを蹴飛ばす、ユーメ

「クソっ!くそっ!」

ユーメは近くにあった本を手に、イケルに投げつける

「痛い!物とか投げないでよ」
「ウルセェ!お前だって言っていいことと悪いことがあるんだよ!」

イケルも怒りが込み上げてくる
二人は怒りの螺旋階段を上る
昇り切った段は崩れ落ちた
互いに、怒りの螺旋階段を昇るしかなくなって

怒りが達した時にしか出せない言葉

「早漏野郎!」

ガタン!ドカッ!

ユーメはイケルの髪を掴んで
押し倒した
「キャ」
恐怖で、叫び声が詰まるイケル

「ざけんな、ふざけんな!」
女の身体を揺らす男
頭部の彼方で、殴るな殴るな、必死の声が呻く
怒りと制御が激しく格闘する
(言うなよ、言うな)
もう一言、性的侮蔑の言葉が出たら
確実に怒りが超えていく

泣キベソのイケル

「わ、私、もう!飛び降りる!」

身体の揺さぶりと拳の恐怖から混乱に落ちたイケルはユーメの拳を力の限りで振り切り、
1DKの部屋のベッドに乗り、窓を開けて身体をサッシ越しに浮かす
しばし呆然と見つめるユーメ

ヤバいマジだ

「待て!」



怒りの螺旋階段の昇る足が屋上に辿りいて、なお、怒り続ければ
屋上の先は・・・

・・・・

女の背中に必死に飛びつく男
「早まるな、わるかった、悪かったよ」
「もう死ぬ」
「3階じゃ死ねないだろ・・」

そのままベッドに引き戻す

そのままに、
した這いずり

「ユーくん、もっと、、もっと、して」
「うん」






またおっぱじめちまった
二十才のサガだし、

怒りの屋上の先はベッドだったか
性的激情を快楽劇で沈めた

卑らしく25.69グルグル、グルグル、螺旋しやがって
33.44戯れだけに費やしやがった
由女は訳も分からず涙が流れちまって、生花瑠の果実に愛垂らし続けたさ
流れ落ちる涙と唾液と愛液が重なりあって、あーあ、野暮ったいこというんじゃねぇぞ、
イケルも泣いたさ
二人して涙流しながら泣淫しましたよ
見ろよ
女は感じるどころか、ワンワン犬みてえに泣いちまってよ!
男は犬みてぇに泣きながらペロペロしやがってよ!
顔くしゃくしゃにしちゃって、まあ

男は自分の快楽は後回しで必死に時間かけて愛撫したってさ!
女はひでぇこと言っちまったってよ。ゴメンナサイなんて言いながらしっかり受け止めてさ!なんだかスットコどっこい聴けねえ、お泣き喘ぎなんかで応じて頂けりゃ39ってなもんオットット

どうだい、どうだい、どうだい!!

できんじゃねえかよ!
相手のこと想いやりやがってよ!!
一悶着あればできんだな
人間なんて素じゃ意地っ張りの見栄っ張りの探りっ張りじゃんよ!

剥き出しさらりされよ!
綺麗に化粧した可憐なお顔の華麗に施したその紅でナニ染めてる心はすっぴんだべ

むきだしひらりえちたまれよ!
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