せっかくの婚約ですが、王太子様には想い人がいらっしゃるそうなので身を引きます。
 二人のことを知っている私からしてみれば、その光景は嬉しいものだった。思わず涙を浮かべてしまうくらいに。

「本当に安心したわ。一時はどうなるかと思っていたけれど……」
「ご心配をおかけしてしまい、本当に申し訳ありませんでした」
「いいえ、謝るようなことではないわよ。あなたは被害者なのだもの」

 ラフェシア様には、既にある程度の事情は伝えてある。
 当然のことながら、彼女はメルーナ嬢のことに心を痛めているようだった。
 実際にメルーナ嬢の顔を見て安心していることが、その表情からは伝わってくる。ラフェシア様はとても優しい人であるし、恐らくかなり心配していたのだろう。

「リルティアもお疲れ様。あなたも大変だったでしょうね?」
「あ、いいえ、私はそれ程何もしていませんから。ただその場に立ち会っていただけですから」

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