あなたは本当に憧れの先輩? 6年ぶりの再会は運命の出会い
宙は急に思い出したかのように英語で
「トムさんとお袋は明日到着予定だったよね?」
トムさんが早口の英語で宙に返事をした。
「そうなんだ〜」と納得していた。
トムさんが宙に何やら質問しているようで
お母さんも「どうなの?」と聞いている。
「違うから!」と否定するとお母さんはニヤニヤしながら「ふ〜ん。違うのね」と言ってから私の顔を見上げながらニコッと笑顔を向けられた。
「お嬢さん、応急手当ては出来たわ。ストッキングも破けてるし、ケガしてるからタクシーで宙に送ってもらってね。宙、送ってあげなさい」
「あの、本当にご迷惑お掛けしました。
送っていただかなくても1人で大丈夫です…」と凛が答えると
「おうちにどなたかいらっしゃる?」
「あ、いいえ1人暮らしです…」
「じゃあ尚更!宙、送ってあげて〜」
「ああ。菊池さん、ケガしてるし送って行くから」
「そうだよ。菊池さん宙に送ってもらって!俺も心配だからさ」と仁もカウンター越しに話しかけてきた。
「では…澄川さん…よろしくお願いします」と凛は宙に頭を下げた。
その後、タクシーがお店の前に着き宙に手を引かれてながら凛は宙と一緒にタクシーに乗り込んだ。
トムさんは「ホントウニ ゴメンナサイ!」と頭を下げ、
宙のお母さんはニコニコしながら
「凛ちゃん、また会いましょうね」と手を振り 2人はタクシーが見えなくなるまで見送ってくれた。