『46億年の記憶』 ~命、それは奇跡の旅路~   【新編集版】
「ダメだわ。立候補者自体が少ない。直近の参議院選挙でいうと28.1パーセント。前回より3.4パーセント増えているけどまだまだ少ないわね。全体の四分の一をやっと超えたくらいだから。それに、最大政党である自民党は15パーセントしかないの。これじゃあ女性議員数は増えないわね」

「ということは、先ず女性候補者数を大幅に増やすことが必要ね。そのためには政党ごとに候補者数を男女同数にするルール作りがいいかも知れないわね。それと、数だけ多くても仕方ないから、女性の生活向上に直結する政策を立案する能力のある魅力的な女性候補の発掘が必要よね。そして20代、30代の女性に対する啓発活動ね。この三つをセットでやる必要があるわね」

「う~ん、そうだけど……」

 残念だけど頷けないわ、というふうに考子が顔を曇らせると、真理愛も同じような表情になって声の調子を落とした。

「そうなのよね。言ってはみたけど、それを実現させるのは簡単ではないわね」

 二人から声が消えた。
 偉そうなことを言っても自分が立候補するわけではなく、女性の生活向上に直結する政策立案ができるわけでもなかった。せいぜい投票所に行くことが関の山だった。
 真理愛は子育てが始まったばかりだし、考子は出産を控えている。
 それに、新型コロナの感染拡大がある。
 自らが政治活動に参加するのは無理だった。
 
「女って大変よね~」

 真理愛から思わず愚痴のようなため息が漏れた。

「そうなのよね。でも、それを言ってたら何も変わらないし……」

「でも、子育てを放棄して、仕事を辞めて、政治の世界に飛び込むのは無理だし……」
「う~ん、そうなんだけど……。でも、子育てをしながら、仕事をしながら、政治活動をすることってできないのかしら」

「そうね~、それができたら言うことないんだけどね」

 真理愛は頬杖(ほおづえ)をついて、また大きなため息をついた。
 そして、「そんなロールモデルがいればね~」と半ば諦めの視線を考子に送った。

< 149 / 195 >

この作品をシェア

pagetop