ギャップ男子超短編×3
だから一応認知はされてる。



……だけど私は彼と話さない。



というか話せないんだ。



今だって挨拶してくれたのに、嬉しさと恥ずかしさで情けない声を出して逃げ出してしまった。



本当は走っちゃいけない廊下を全力で駆け抜けて、誰もいない階段の影に隠れる。



壁に手をついて、そして早く動く心臓に左手を当てて息を吐く。



「……はぁ」



自分の情けない性格にため息が出てしまう。



毎日私を見つけたら挨拶してくれる日向くんに、私は挨拶しよう、挨拶しようと思っている。



それでも彼を目の前にした時、どうしても怖くて恥ずかしくて何も言えなくなる。
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