あなたと運命の番になる
和真は蘭の通勤リュックを片手で背負う。
そして蘭のペースに合わせてゆっくり駐車場へと進む。

「本当に送っていただいていいんですか?
谷本さんの休憩時間なくなっちゃいますよ。」

蘭は申し訳なさそうに話しかける。

「全然大丈夫です。
それよりしんどいですよね。もうすぐ車に着きますから。」

心配そうに和真が言う。

蘭は明らかに朝より体調が悪化しているのを感じていた。気力で歩いているという感じだ。
気持ち悪さも出てきている。
歩いて家まで帰るのはしんどい。車はかなりありがたい。

「着きました。乗ってください。」

和真はそう言って車のロックを解除し、扉を開ける。
蘭は体調の限界を感じ、すみませんと言いながら乗り込む。

「薬、持っておきたいですよね。」

和真はリュックを渡す。
蘭はリュックからゴソゴソと探して、薬を出して手に持つ。

「リュック後ろの席に置いておきます。
気分悪いですよね。少しリクライニング倒します。」

和真は蘭の手からリュックをとり、後部座席に置く。
そして、蘭の左側にあるレバーをおして、座席を倒そうとする。

レバーを倒すとき、和真が急に近くなり、ドキッとする。和真のスマートな行動に胸が高まるのを感じる。

先程抱きしめてもらったことも思い出し、顔が少し赤くなる。あの時は余裕がなくて、身を預けてしまったが、冷静になると恥ずかしい。

リクライニングが下がり、蘭は少し楽になる。

「大丈夫ですか?顔赤いですね。
しんどくなったら、言ってくださいね。車停めるんで。」


蘭が恥ずかしくて、横を向く。
そして小さく頷いたのを確認し、車を走らせた。
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