あなたと運命の番になる
和真は挨拶を終えるとともに、作業場から瞬と退室した。

残りの仕事も終わらせ、退勤となる。

蘭は田中と田所と工場から出る廊下を歩いていた。

「谷本くんがヤマシロの副社長だったとは。衝撃的すぎました。それにめっちゃくちゃ男前だったんですね。小顔だなとかスタイルいいなとは思ったことありましたけど、変装してたから、分かりませんでした。」

田所が話す。

「ほんとにそうよね。副社長として会った時は緊張したけど、実際話してみるとやっぱり谷本くんの時の面影があって、懐かしくもなったわー。」

田中も話す。

「それに、このお菓子!めっちゃ美味しそうですよね。センスあるし!工場全員への労いらしいですよ。太っ腹すぎー。やっぱりお金持ちなんだろな!どんな家住んでんだろ笑」

田中と田所の盛り上がる話を横で聞く。
お菓子帰ってから食べるの楽しみだななんて思う。


工場を出たところで突然声をかけられる。

「大黒さん!今日一緒に帰りませんか?」

3人は話しをやめ、和真の方を見る。

「1年半前はたまに一緒に帰ってたじゃないですか。久しぶりに会ったし、話したい。」

蘭は言葉につまる。
久々の再会に嬉しく思ったが、副社長としての和真と2人きりになるのはなかなかにハードルが高い。

蘭は目線をそらし、下を向く。

「山城さん、久しぶりに会ったと思ったら、積極的ですね笑。急にイケメン副社長に誘われたら蘭ちゃんびっくりしちゃうよね!」

蘭が困ってるのを感じ、田所が笑って話す。

蘭は和真への気持ちを少しずつだが、抑えられてきていた。恋焦がれるだけならいいが、蘭の場合は皮肉なことに気持ちが大きければ大きいほどヒートをひどくする。ヒートを軽くすることが蘭の体調に重要だ。また好きになってヒートをこじらせたくない。
それにヤマシロの副社長との恋愛なんて、庶民でΩの蘭には身分不相応すぎる。

ただ、なんと断ればよいかも分からない。副社長に失礼な態度なんてとれるはずもない。
どう返答すればよいかわからず、沈黙が流れる。

「蘭ちゃん!!送ってもらいなよ!せっかくなんだからさ!!」

田所がおす。和真がいなくなってから、蘭がなんとなく寂しそうなのを感じていた。和真のことも以前、見ていたし、両想いなのではと思っていた。

「えっそんな・・・でも・・・。」

「山城さん、もちろん信用してますが、うちの蘭ちゃんに下手なことはしないでくださいね!約束ですよ! 」

田中が和真の目を見て伝える。

「もちろんです!!」

和真はそう言って、下を向いた蘭と目線を合わすためにかがむ。蘭の大きな瞳と目が合う。

「今から時間もらってもいいかな?遅くなるまでに必ず家に届ける。絶対に手は出さないし、大黒さんを怖がらせるようなことはしない。約束するから。」

和真と視線が合う。意志の強さの中に優しさがある。蘭は和真の目に釘漬けになった。
こんなこと言われて断れる人なんているのだろうか。

「よろしくお願いします。」
蘭は小さな声で伝えた。

「ありがとう。じゃあ行こうか!」
和真が優しく微笑んだ。

蘭ちゃんがんば!!
お疲れ様ー。気をつけてね!!

2人の声に蘭はお辞儀をして、和真とともに歩き出した。
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