『後姿のピアニスト』 ~辛くて、切なくて、 でも、明日への希望に満ちていた~ 【新編集版】
 ピッティ宮殿を出て、別の美術館へ向かった。
 誰もが知っている有名な彫刻が飾られている館、アカデミア美術館。
 中に入ると、それはすぐに見えた。
 まっすぐ伸びた通路の奥にそれは飾られていた。
 ミケランジェロの傑作『ダヴィデ像』
 近づくと、その巨大さに驚いた。
 大理石の土台の上に5メートルを超える彫刻が乗っているのだ。
 筋肉隆々で左手には石を持っていた。
 最強の敵、巨人ゴリアテを倒すためだ。
 それにしても……、
 体の中心部を見てちょっと驚いた。
 小さい。
 体の大きさに対して小さすぎる。
 ゴリアテに対峙した時の恐怖であそこが縮んでしまったという説もあるらしいが、それにしても小さい。

 どう思う? 

 彼女に問いかけた。

 バカね。

 相手にされなかった。

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