10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました。
 彼は私と彼が雇用関係になる話をしている。
 もしかしたら、私が今無職だから心配してくれているのかもしれない。

「住み込みって、私と江夏君が一緒に住むってこと?」
「まあ、そうなんだけど。もちろん、気持ちもないのに恋人になれって言っている訳じゃないよ。ただ俺が家事が苦手で助けが欲しくて、桜田さんも東京を少し離れたいならウィンウィンの提案かなと思ったんだ」
「うん⋯⋯」
 私の頭の中には冬馬さんと一緒に暮らした短い時間の記憶が蘇っていた。
 恋を穢らわしいと思っていた私が恋をしていたと思う。
 今、思い起こすと本当にあった出来事かも疑わしい程に夢みたいな時間だ。

「結構前に住み込みの家事代行をテーマにしたテレビドラマをやっていたけど見なかった?」
「見ていないかな⋯⋯」

 昨今はテレビをつけるとドラマは不倫を題材としたものが多く、私はメンタルが削られてとてもじゃないけれど見られなかった。
 でも、テレビドラマの題材になるくらいなら住み込みの家事代行サービスというのはメジャーなものなのだろう。

「経費別で1日2万円でどお?」
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