男性不信のお姫様と女性不信の王子様はカボチャ姫を愛す
素の私を知ってもらいます!!作戦二日目後編
お腹も空いてきたわね……
よーーしっ!!
それでは作戦開始よーー!!!!
「アレクシス王子、お腹が空きませんか?」
「…… そうですね。ちょうど昼時ですし…… なにか食べましょうか?」
「では私が買って参りますので、そちらにある椅子に座って少し待っていて下さい」
「いえ、私も付いて行きますよ」
「大丈夫です!! 一人でッ!! それでは行って来ますねーーぇ」
その場から私は素早く走り去って行った。
ごめんなさいね……。
有無も言わさずに置き去りにしてしまったわ。
今から、いーーっぱい食べ物を買い込んできて、食い気しかない姫だということをもっと知ってもらわないと!!
大抵の殿方は、色っぽい女性を好むのだとハンナが言っていたことがあったわ。
私は色気より食い気よっ!!
この私に、色気なんて微塵も欠片も無いともう知っているかもだけど……さらに念押ししておきましょう。
さぁーー買いまくるわよーー!!!!
♡♡
我ながら両手いっぱいに買い込んでしまったわね。
この私の姿を見たアレクシス王子の反応が楽しみだわ!!
ウッシシ。
絶対に呆気にとられるはず。
「お待たせしましたーー」
アレクシス王子……凝視しているわ……ヤッタ!!
作戦は成功ねっ。
「プッ、プッハハハーー!! こんなに沢山お一人で買って持って来たのですか? ハッハハハーー。姫は私を笑わす天才ですねっ!!」
んっ!?
思っていた反応と違う……
どうなってるのかしら?
うーーん、これは……笑い者扱いされてる……ってことでいいのよね?
だったら大成功よーー!!!!
「えぇ、私は食べることが大好きで食い意地が張っておりますのっ」
そうよ、素の私を知って幻滅するといいわ。
「いえいえ、そんな、ハッハハーー!! よく食べるのは良いことですよ。それにどれも美味しそうです」
ーーあらあら無理しちゃって。
「そうですよねーー!! どれもこれも美味しそうだったので買わずにはいられなかったのです。冷めないうちにいただきましょう。この薔薇ジャムの塗られているパンケーキは最高に美味しいのですよ。それとこのお肉の串刺しと、フルーツ飴も、あっ、こちらのサンドイッチも美味しいです!!」
「ハッハハーー。それでは薔薇ジャムのパンケーキをいただきたいと思います」
「はい、どうぞお召し上がり下さい」
……昨日から思っていたけど……お食事をされているお姿までも気品があって美しい方ね……
食い意地の張った私とは大違いだわ!!
「薔薇ジャムのパンケーキ、美味しいですね!! この薔薇ジャムは風味が良く、甘さ控えめでパンケーキにとてもよく合ってます」
「それは良かったです!! こちらの店の薔薇ジャムは私のお気に入りなのですよ。スコーンにも合いますし、シフォンケーキにも、パンにも合いますよ」
うっすらとまんべんなく薔薇ジャムが塗られたパンケーキを、パクリと口に入れる。
ん〜〜ほっぺが落ちそう〜〜しあわせ〜〜。
「エレノア姫は薔薇ジャムが本当にお好きなのですね。仰るとおり、どれにつけても美味しそうです」
「はい、好きですよ。でも薔薇ジャムのパンケーキだけではなく他の食べ物も好きです。いっぱい買い込んできたので沢山召し上がって下さいね」
「…… ほんとうに沢山買ってこられましたね。全部食べれますでしょうか?」
そうね……さすがの私も買い込み過ぎた感はあるけど……
「大丈夫です!! アレクシス王子が食べれなくても、私が責任を持って全部平らげますので!!」
「ハッハハハ」
そりゃ笑うしかないわよね。
フッフフ、とんだ大食い女だとお思いでしょう。
さぞ幻滅されているはず……。
私はどう思われてもいいのよ、脇目も振らずに食べるのみっ!!
あ〜〜お腹がパンパン。
ようやく全部食べ切ったわ。
さすがに食べ過ぎねっ。
「お腹がいっぱいになりましたね…… エレノア姫」
ーーアレクシス王子も随分と頑張って食べてくれたものねぇ。
「そうですね。食べたあとは運動しましょう!! これからスカイミラー湖へとお連れします。とっても美しい湖なのですよ」
「それは楽しみです!!」
私達は再びベルとブルーノに乗り、スカイミラー湖へと出発した。
♡♡
「アレクシス王子、着きましたよ!! ここがスカイミラー湖です」
「これは…… 息を呑む美しさだ……」
「えぇ。この自然とこの景色はウェンスティール国の宝です」
私はこの場所が昔から大好きなのよね。
壮大な山々の色と草原に咲き誇る花々の色と、このスカイミラー湖が映し出す空色。
自然の生み出す色には人を癒す力があると思うわ。
「アレクシス王子、向こう側の湖のほとりに大きな一本木が見えますよねっ。あの木に登って上から眺める景色はもっと素晴らしいですよ。さあ行きましょう!!」
「えっ!? き、木登り……」
まさか縁談相手が木登りまでする姫とは想像すらしていなかったことでしょう。
ーーお気の毒に……
隣で戸惑っている王子を気にも留めないまま、私はいつものようにお目当ての一本木を目指した。
そうして辿り着いた目的地の大きな一本木を目の当たりにし、アレクシス王子はより一層戸惑いを隠せずにいた。
「こ、こんな高い木に登って姫が怪我でもしたら大変です!! 危ないのでよしましょう」
「私は昔からこの木に登っているので大丈夫ですよ。枝も太くてしっかりとしていて丈夫なので」
「いけませんよ、怪我してからでは遅いのですから……」
お父様とお母様みたいなことを言うわね。
ダメと言われて、大人しく引き下がる聞き訳のよい姫でもないってことも知ってもらいましょう!!!!
「でしたら私が一人で登りますので、アレクシス王子はそこからでも景色をお楽しみ下さい」
「…… えっ!?」
さてとっ、、
私は普段通り一人で登るとしましょう。
よいしょ、よいしょっ、とっこうやって登ってる時も結構スリリングで楽しいのよね……。
「フーーーーゥ」
いつもの枝まで登ってこれたわ!!
最高にいい眺めーー。
ん……?
なんかガサガサ音がする……
目線をおろすと、
あれっ?
いつの間にやらアレクシス王子も登ってきている。
どうしたのかしら……?
「エレノア姫だけ登らせて私が一人で下で待っているわけにはいかないので…… 姫が落ちないように側にいます!!」
ーー私の方がアレクシス王子よりも木登りは慣れていると思うのだけど……心配してくれてるのね。
「ありがとうございます。でも私は落ちたりしませんよ。私の方こそアレクシス王子が落ちそうになったら、腕を掴んで引っ張り上げて差し上げますね!!」
「ハハハーー。そんな私の面目が立たないことを仰らないで下さいよ」
なんだか失礼なことを言っちゃったかしら?
「ですが…… そう言ってもらえて嬉しいですよ。それにしても…… 登ってきて正解でした。本当に美しい眺めです!!」
スカイミラー湖の真上をかかるようにして長く伸びた太い枝に、二人で肩を並べて座り雄大な自然を見渡す。
「確かにこの景色はここに登らないと見れないですね。スカイミラー湖という名の通り、透きとおった綺麗な湖面に上空がそのまま映し出されていて…… 上空と下空の二つの空が見れるとは。この景色は一生忘れることはないでしょう」
ーーとても気に入ってもらえたようね。
「よき思い出になりそうで良かったです。スカイミラー湖は別名トゥルーミラー湖とも呼ばれていて、水面を覗いて映し出される自分の姿が鏡のように鮮明に見える人は、心の美しい人と言われているのです。逆に水面に映し出された姿がボヤけて鮮明でない人は、心が濁っていると言われているのですよ。下に降りて覗いてみますか?」
「それは面白そうですね。是非覗いてみたいです!!」
「それでは、早速降りて覗きに行きましょう」
まっ、迷信なんだけど……。
いくらなんでも自分の姿が鏡みたいに鮮明に映し出される人なんていないしねっ。
私もここに来る度に覗いてるけど……いつもボヤけてしか見えないし。
大きな一本木から降りてきた私とアレクシス王子は、スカイミラー湖の水辺にぎりぎりまで近づいて行き、ピタッと足を止めた。
「アレクシス王子、この辺りで一緒に覗いてみましょうか?」
「はい、そうしましょう」
二人で同時に水面へ顔を覗き込む。
う〜〜〜〜ん。
やっぱりボヤけて見えるわね……私の姿。
アレクシス王子の姿もボヤけてる。
そうよね……。
鏡みたいに鮮明に見えるはずなんてないわよ。
スカイミラー湖でもそこまでは無理でしょう。
まぁね、私が美しい心の持ち主じゃないってことは否定は出来ないわ。
それにしてもアレクシス王子……さっきから静かね?
ふと隣のアレクシス王子を見る。
んっ?どうしたのかしら!?
アレクシス王子が水面に映し出された姿を見て固まっているわ……
やだッ!!
大変よーー!!!!
そんなにもボヤけたご自分の姿が見えたことがショックだったの?
「…… ご心配なさらずとも迷信ですから」
「い、い、いえ、そうではなくって……」
そうではないのなら何なの?
んっ……なっ、なっ、何?
どうしてそんなに焦っているの!?
お顔も真っ赤ですけど……。
それに……なぜ私の顔と水面に映し出された私の姿を何度も見比べてるの!?
一体何なのかしら……?
あっ、、分かったわ!!
私の映し出された姿が、ボヤけていて心が美しくないことが露呈してしまったから、動揺しているのね……。
心の美しくない妃なんて隣にいて欲しくないと思ったのよ!!
そりゃそうよねーー絶対にお断りだわよ!!!!
これでもう私との縁談を破談にしたいと思っているはず!!
知らない内に作戦が上手くいってるようで良かったわ。間違いなく私に幻滅している。
よくやった私!!
ーーグッジョブ!!!!
よーーしっ!!
それでは作戦開始よーー!!!!
「アレクシス王子、お腹が空きませんか?」
「…… そうですね。ちょうど昼時ですし…… なにか食べましょうか?」
「では私が買って参りますので、そちらにある椅子に座って少し待っていて下さい」
「いえ、私も付いて行きますよ」
「大丈夫です!! 一人でッ!! それでは行って来ますねーーぇ」
その場から私は素早く走り去って行った。
ごめんなさいね……。
有無も言わさずに置き去りにしてしまったわ。
今から、いーーっぱい食べ物を買い込んできて、食い気しかない姫だということをもっと知ってもらわないと!!
大抵の殿方は、色っぽい女性を好むのだとハンナが言っていたことがあったわ。
私は色気より食い気よっ!!
この私に、色気なんて微塵も欠片も無いともう知っているかもだけど……さらに念押ししておきましょう。
さぁーー買いまくるわよーー!!!!
♡♡
我ながら両手いっぱいに買い込んでしまったわね。
この私の姿を見たアレクシス王子の反応が楽しみだわ!!
ウッシシ。
絶対に呆気にとられるはず。
「お待たせしましたーー」
アレクシス王子……凝視しているわ……ヤッタ!!
作戦は成功ねっ。
「プッ、プッハハハーー!! こんなに沢山お一人で買って持って来たのですか? ハッハハハーー。姫は私を笑わす天才ですねっ!!」
んっ!?
思っていた反応と違う……
どうなってるのかしら?
うーーん、これは……笑い者扱いされてる……ってことでいいのよね?
だったら大成功よーー!!!!
「えぇ、私は食べることが大好きで食い意地が張っておりますのっ」
そうよ、素の私を知って幻滅するといいわ。
「いえいえ、そんな、ハッハハーー!! よく食べるのは良いことですよ。それにどれも美味しそうです」
ーーあらあら無理しちゃって。
「そうですよねーー!! どれもこれも美味しそうだったので買わずにはいられなかったのです。冷めないうちにいただきましょう。この薔薇ジャムの塗られているパンケーキは最高に美味しいのですよ。それとこのお肉の串刺しと、フルーツ飴も、あっ、こちらのサンドイッチも美味しいです!!」
「ハッハハーー。それでは薔薇ジャムのパンケーキをいただきたいと思います」
「はい、どうぞお召し上がり下さい」
……昨日から思っていたけど……お食事をされているお姿までも気品があって美しい方ね……
食い意地の張った私とは大違いだわ!!
「薔薇ジャムのパンケーキ、美味しいですね!! この薔薇ジャムは風味が良く、甘さ控えめでパンケーキにとてもよく合ってます」
「それは良かったです!! こちらの店の薔薇ジャムは私のお気に入りなのですよ。スコーンにも合いますし、シフォンケーキにも、パンにも合いますよ」
うっすらとまんべんなく薔薇ジャムが塗られたパンケーキを、パクリと口に入れる。
ん〜〜ほっぺが落ちそう〜〜しあわせ〜〜。
「エレノア姫は薔薇ジャムが本当にお好きなのですね。仰るとおり、どれにつけても美味しそうです」
「はい、好きですよ。でも薔薇ジャムのパンケーキだけではなく他の食べ物も好きです。いっぱい買い込んできたので沢山召し上がって下さいね」
「…… ほんとうに沢山買ってこられましたね。全部食べれますでしょうか?」
そうね……さすがの私も買い込み過ぎた感はあるけど……
「大丈夫です!! アレクシス王子が食べれなくても、私が責任を持って全部平らげますので!!」
「ハッハハハ」
そりゃ笑うしかないわよね。
フッフフ、とんだ大食い女だとお思いでしょう。
さぞ幻滅されているはず……。
私はどう思われてもいいのよ、脇目も振らずに食べるのみっ!!
あ〜〜お腹がパンパン。
ようやく全部食べ切ったわ。
さすがに食べ過ぎねっ。
「お腹がいっぱいになりましたね…… エレノア姫」
ーーアレクシス王子も随分と頑張って食べてくれたものねぇ。
「そうですね。食べたあとは運動しましょう!! これからスカイミラー湖へとお連れします。とっても美しい湖なのですよ」
「それは楽しみです!!」
私達は再びベルとブルーノに乗り、スカイミラー湖へと出発した。
♡♡
「アレクシス王子、着きましたよ!! ここがスカイミラー湖です」
「これは…… 息を呑む美しさだ……」
「えぇ。この自然とこの景色はウェンスティール国の宝です」
私はこの場所が昔から大好きなのよね。
壮大な山々の色と草原に咲き誇る花々の色と、このスカイミラー湖が映し出す空色。
自然の生み出す色には人を癒す力があると思うわ。
「アレクシス王子、向こう側の湖のほとりに大きな一本木が見えますよねっ。あの木に登って上から眺める景色はもっと素晴らしいですよ。さあ行きましょう!!」
「えっ!? き、木登り……」
まさか縁談相手が木登りまでする姫とは想像すらしていなかったことでしょう。
ーーお気の毒に……
隣で戸惑っている王子を気にも留めないまま、私はいつものようにお目当ての一本木を目指した。
そうして辿り着いた目的地の大きな一本木を目の当たりにし、アレクシス王子はより一層戸惑いを隠せずにいた。
「こ、こんな高い木に登って姫が怪我でもしたら大変です!! 危ないのでよしましょう」
「私は昔からこの木に登っているので大丈夫ですよ。枝も太くてしっかりとしていて丈夫なので」
「いけませんよ、怪我してからでは遅いのですから……」
お父様とお母様みたいなことを言うわね。
ダメと言われて、大人しく引き下がる聞き訳のよい姫でもないってことも知ってもらいましょう!!!!
「でしたら私が一人で登りますので、アレクシス王子はそこからでも景色をお楽しみ下さい」
「…… えっ!?」
さてとっ、、
私は普段通り一人で登るとしましょう。
よいしょ、よいしょっ、とっこうやって登ってる時も結構スリリングで楽しいのよね……。
「フーーーーゥ」
いつもの枝まで登ってこれたわ!!
最高にいい眺めーー。
ん……?
なんかガサガサ音がする……
目線をおろすと、
あれっ?
いつの間にやらアレクシス王子も登ってきている。
どうしたのかしら……?
「エレノア姫だけ登らせて私が一人で下で待っているわけにはいかないので…… 姫が落ちないように側にいます!!」
ーー私の方がアレクシス王子よりも木登りは慣れていると思うのだけど……心配してくれてるのね。
「ありがとうございます。でも私は落ちたりしませんよ。私の方こそアレクシス王子が落ちそうになったら、腕を掴んで引っ張り上げて差し上げますね!!」
「ハハハーー。そんな私の面目が立たないことを仰らないで下さいよ」
なんだか失礼なことを言っちゃったかしら?
「ですが…… そう言ってもらえて嬉しいですよ。それにしても…… 登ってきて正解でした。本当に美しい眺めです!!」
スカイミラー湖の真上をかかるようにして長く伸びた太い枝に、二人で肩を並べて座り雄大な自然を見渡す。
「確かにこの景色はここに登らないと見れないですね。スカイミラー湖という名の通り、透きとおった綺麗な湖面に上空がそのまま映し出されていて…… 上空と下空の二つの空が見れるとは。この景色は一生忘れることはないでしょう」
ーーとても気に入ってもらえたようね。
「よき思い出になりそうで良かったです。スカイミラー湖は別名トゥルーミラー湖とも呼ばれていて、水面を覗いて映し出される自分の姿が鏡のように鮮明に見える人は、心の美しい人と言われているのです。逆に水面に映し出された姿がボヤけて鮮明でない人は、心が濁っていると言われているのですよ。下に降りて覗いてみますか?」
「それは面白そうですね。是非覗いてみたいです!!」
「それでは、早速降りて覗きに行きましょう」
まっ、迷信なんだけど……。
いくらなんでも自分の姿が鏡みたいに鮮明に映し出される人なんていないしねっ。
私もここに来る度に覗いてるけど……いつもボヤけてしか見えないし。
大きな一本木から降りてきた私とアレクシス王子は、スカイミラー湖の水辺にぎりぎりまで近づいて行き、ピタッと足を止めた。
「アレクシス王子、この辺りで一緒に覗いてみましょうか?」
「はい、そうしましょう」
二人で同時に水面へ顔を覗き込む。
う〜〜〜〜ん。
やっぱりボヤけて見えるわね……私の姿。
アレクシス王子の姿もボヤけてる。
そうよね……。
鏡みたいに鮮明に見えるはずなんてないわよ。
スカイミラー湖でもそこまでは無理でしょう。
まぁね、私が美しい心の持ち主じゃないってことは否定は出来ないわ。
それにしてもアレクシス王子……さっきから静かね?
ふと隣のアレクシス王子を見る。
んっ?どうしたのかしら!?
アレクシス王子が水面に映し出された姿を見て固まっているわ……
やだッ!!
大変よーー!!!!
そんなにもボヤけたご自分の姿が見えたことがショックだったの?
「…… ご心配なさらずとも迷信ですから」
「い、い、いえ、そうではなくって……」
そうではないのなら何なの?
んっ……なっ、なっ、何?
どうしてそんなに焦っているの!?
お顔も真っ赤ですけど……。
それに……なぜ私の顔と水面に映し出された私の姿を何度も見比べてるの!?
一体何なのかしら……?
あっ、、分かったわ!!
私の映し出された姿が、ボヤけていて心が美しくないことが露呈してしまったから、動揺しているのね……。
心の美しくない妃なんて隣にいて欲しくないと思ったのよ!!
そりゃそうよねーー絶対にお断りだわよ!!!!
これでもう私との縁談を破談にしたいと思っているはず!!
知らない内に作戦が上手くいってるようで良かったわ。間違いなく私に幻滅している。
よくやった私!!
ーーグッジョブ!!!!