クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由~隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる~
どうして私に優しくするのですか――


今ここに、そう聞きたいと懇願する自分と、聞いてショックを受けたくないと拒絶する自分がいる。


好きでもない女性に、拓弥さんはこんなにも優しくできるんだ。
でも、だとしたら、それは罪だ。
こんなことされたら誰だって勘違いしてしまうことを、この人は何もわかっていない。


拓弥さんを好きになっても、何も期待できないし、してはいけない。
こんなにも素敵な人に片思いできるだけで、充分幸せじゃないか……確かにそう思う。
そう思っていたはずなのに――


「また、いつでもおいで。ミルクティー、淹れてあげるから」


自分の気持ちを押し殺している私の頭に優しく手が差し伸べられる。
ポンポンされている私の感情は、もうぐちゃぐちゃだった。


それ以上はもちろん何もない。
2人だけの短い時間にさよならし、私は虚しい気持ちと感謝の気持ちを背負って、隣の真っ暗な部屋に1人戻った。
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