クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由～隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる～

気づけば私は、そんな拓弥を守るボディガードになっていた。学生時代から亜里との関係を大切にしていた私は、拓弥にとって何よりも安心できる存在だったのだろう。


他の誰よりも「頼りになる女」だったのだ。


「私にも拓弥の気持ちはわかる。だけど、話したこともない女性を海外に行ってる間もずっと想ってて、奇跡的に再会もできて……こんなドラマティックな恋愛、なかなか無いよ。だったら、ある程度強引にしてもよくない？ 詩穂ちゃんは……拓弥のこと、きっと受け入れてくれるから。ほんと、自信持って」


私は、拓弥の背中を叩いた。


「あ、ああ、そうだな。ああ……そうだ」


「拓弥、あなた、本当に自分がどれほどの男か自覚してないのね。ここまでくると、ちょっと呆れるわ。いや、笑える」


「ひどいな、沙織。お前も浴衣、着付け間違えただろ」


「うわ、それ言う？ 苦手なことを頼まれてこっちも大変だったんだからね」