クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由～隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる～

「無理なの。同じ人を好きになって、その人は詩穂を選んだ。それでも祝福しろと？ 私から何もかも奪っていく詩穂は、友達でも何でもない。別に勝手に自由にすればいいよ。今さら詩穂を縛り付けるつもりはないから｣


｢瑠香ちゃん……｣


｢あと、仕事も辞めるつもりだから」


「え！ 瑠香、仕事を辞めるってどういうこと？」


突然の発言にとても驚いた。


「そのままの意味。わからないの？」


「本当に『ハピプレ』を辞めるつもりなの？」


「だからそう言ってるの。こんな風にあなたの顔を見たくないから」


｢そんな……｣


｢ねぇ、瑠香ちゃんは『ハピプレ』が好きなんでしょ？ だったら、お姉ちゃんのことは関係ないよね？ お姉ちゃんがどうとかじゃなくて、自分が好きな仕事を続けた方がいいよ」


「……」


真穂の言葉に黙り込む瑠香。
私のことには反発しても、真穂の言葉は瑠香にも届いているように思えた。