クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由~隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる~
「出会ってくれてありがとう。心からそう思ってる。詩穂、愛してるよ」


小声で囁いてくれたセリフにキュンとなる。
嬉しい――
今のこの幸せは、私が頑張ってきたご褒美なのか?
だとしたら、自分のことをちゃんと褒めてあげたい。自己肯定感が低い自分でも、地道に毎日を生きてきて良かったと、今は思える。


沙織さんも、瑠香も航輔君も、みんな新しい道を進んでいる。
確かに色々あったけれど、私にはどれも大切なことで、正解も間違いも、全てが今に繋がっているんだ。


「詩穂?」


「はい、拓弥さん」


私達が結婚式を挙げた場所にたどり着いた。
遠くから舞台を見ていると、あの日の光景が思い出される。


「俺達はあそこで将来を誓った」


「はい」


「これから先、たとえどんなことがあっても、俺は詩穂を守る。君だけを愛してる。だから……君も、俺だけを見ていてほしい。絶対に、離れたくない」
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