ベランダ越しに花束を
4.シャクヤク、そしてスターチス
ある薄暗い雨の日のことだった。
雨だから洗濯は干せないな、と思いながら、今日も光琉と会うためベランダに出た。
でも、光琉の姿はなかった。
胸が苦しくなった。
久しぶりに、光琉に会えない日。
一気に気持ちが沈んだ。
ゴロゴロっと、雲が泣いたような音がした。
まるで私の心境のように。私はしばらく、いつも光琉が頬杖をついている場所を見つめた。
もしかしたら、出てくるかもしれないという、少しの希望をもって。