キミは意地悪な男の子

1話 手の届かない人




〇桜が芽吹く頃、桜並木道、快晴(朝)
     
華と同じ制服を着た高校生たちが歩いている。
友達同士で笑い合う人、本を読みながら歩く人、スマホを眺めながら歩く人。
華が周りの生徒たちを眺める。


華M「みんな違って良いんだ……」
華が微笑む。


華の背後から誰かが近づき、華の肩をトントンと軽く叩く。


華M「ん?」
華が振り向くと、ウジンが笑顔で言う。


ウジン「華~! アンニョン(おはよう)」
華「ウジン! アンニョン」


華とウジンが微笑み合う。


華N「彼はイ・ウジン 韓国から来ていて 今は同じ高校に通っている」
華N「そして私は 工藤華 15歳」
華N「つい先日『絆国際高校』に入学したばかり」


華とウジンが横並びで歩く。


ウジン「新しい子 来るね」


華M「新しい子? 転入生ってことかな?」
華が顎に手を当てて考える。
華M「転入生って 何だっけ⁉ この前聞いたのに……」


単語が出てこない華を、ウジンが首を傾げながら見つめる。
華が困ったよう顔をしてウジンを見つめる。


男の声「チョナクセン」
どこからか男の声が聞こえてくる。
その声を聞いた華が目を見開き、嬉しそうにウジンに言う。


華「チョナクセン!」
ウジン「マジャマジャ(そうそう) イェッポッスミョン チョッケッタ」
ウジンが華のことなどお構いなく、韓国語でベラベラ話す。
全く聞き取れない華が首を傾げる。


男の声「『可愛い子だったらいいなぁ』だってさ」
その声の主が華の横に並んで歩く。


華「おっ! おはよう……」
華がほんのり頬を赤らめ俯く。
華M「蓮くん 今日も爽やかだな……」


華の両脇を歩くウジンと蓮が韓国語で会話を楽しむ。
全く会話についていけない華がウジンと蓮を交互に見る。


華N「蓮くんは 憧れの存在」
華N「幼馴染で 勉強も運動も得意 私には……」


突然後ろから自転車のベルの音が聞こえる。
ビクッとする華、蓮が華の肩を抱き寄せ、自転車に通路を譲る。


ドキン、ドキン
蓮に抱き寄せられ、鼓動が高鳴る。
華の顔が真っ赤にする。


ウジンが華をジッと見つめる。
パチッと、華とウジンの目が合う。
ウジンがニコッと笑い、華を指さして言う。


ウジン「パルガンセク」
蓮「赤?」
蓮が首を傾げ、下を見下ろす。
華のバッグにつけられた赤いストラップが目に入る。


蓮M「あぁ そういうことか」
蓮が口を開こうとした時、華が急に大きな声を出す。
華「あぁぁあ! ウジン ちょっと……」
そう言って、ウジンの手首を掴み、学校に向かって走り出す。


蓮が、走り去っていく華とウジンの背中を見つめたまま立ち尽くす。



〇絆国際高校・昇降口

華M「危ない…… 好きバレしてしまうところだった……」
上履きに履き替えながら、ため息をつく華。
華の目の前にウジンが立ちふさがり、前に進めない。


華がウジンを見上げる。
ウジンが腕組しながら華に問う。
ウジン「何で逃げたの?」


華「だって……」
華M「せっかく話せるようになったのに 好きバレしたら また……」
言葉に詰まる華。
ウジンが華をジーッと見つめる。


ウジンに上手く伝えられるワードを考える。
華「とっ…… とにかく 嫌なの!」
焦ったようにウジンに訴える。
 

ウジンが華を見つめながら髪を耳にかけ、ふと視線をあげる。
そこには、無表情の蓮が華の背中を見つめている。


ウジンがニヤッとする。
ウジン「じゃあ付き合う? 俺と」


華「え……」
華がウジンを見上げたまま固まる。
華M「なんでそうなる? ウジンは私のこと 別に好きなわけじゃ……」


ウジンが華の後ろで立ち尽くす蓮に確認するように問う。
ウジン「ウンウォネ ジュルレ?(応援してくれる?)」


華M「今何て言ったの? 一体誰が居るの……?」
華は、ウジンが他の誰かを見つめて話しかけていることに気づき、振り向く。


振り向いたその先には蓮が居る。
蓮は、華に目を合わせることなく上履きに履き替え、ウジンを見る。
蓮「クルッセ……」
淡々と答えて教室に向かって歩いて行く。
華が蓮の後ろ姿を見つめて立ち尽くす。


華がウジンの方を見て確認する。
華「……さっき何て言ってたの?」


眉間にシワを寄せ、手の震えを押さえるようにギュッと握る。


ウジン「『付き合うよ?』って聞いたら『好きにすれば』だって」


ドサッ!
華が持っていた荷物を床に落とす。


華M「私のことなんて どうでも良いよね……」 
華M「何を期待してるんだろう……」


自然と涙がこぼれ落ちる。


ウジンが華の涙を拭う。
ウジンを見上げる華にウジンが言う。


ウジン「バカだな 俺を好きになれば良いのに……」
自信に満ちたような笑顔を見せるウジン。
華がウジンを見つめたまま立ち尽くす。


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