白雪姫は寵愛されている【完】
仁くんが溜息をつく。
そしてポケットからビスケットを出した。
赤いパッケージの強い子ビスケット。
「食べろ」
「えっと…お、お腹すいてないので」
「…食べろ」
「い、いただきます」
怖い目で見ないでください…!
キツキツの袋を開け、五枚の内一枚を口に入れる。
…美味しいけど、パサパサします。
と、思ってたら野菜ジュースをくれた。
一口飲む。
…あっ、これ砂糖入ってないやつですね。
凄く飲みにくい…苦手なものです。
貰ったので文句は言えませんが。
「…嫌そうな顔してるな。野菜ジュースか、美味しくないのは」
ピンポイントで当てられビクリ。
「…隠せてない。可愛いな」
「か、かわいくはない…です」
そう言う私の顔を見て、口角が上がる仁くんに思わずドキッとした。
頭に手が乗った。
「千雪は可愛い、」
「っ…、からかわないでください」
「俺は嘘はつかない」
そ、そうやってまた…。
余裕そうな顔で言うんですから。
私はもうドキドキして大変なのに…。
「俺が飲むから、寄越せ」
「え?でも、これ…」
私が飲んだのに。
構わずそれを飲む。
「他の奴のが飲んだ物は飲まないけどな…千雪のなら、飲める」
「そ、それは…どうしてですか…」
「………伝わらないのかよ」
え?
私…もしかして重要な事を無視してしまったの!?
「ご、ごめんなさ…!」
「…なんで謝んだ」
頭を撫でられた。
「…チッ、難しいなクソ」
仁くんが呟いた。