白雪姫は寵愛されている【完】


「でも…私…、」

「知ってる。千雪は優しいからな」

「…っ、朔也くんの事も心配で、」

「それでもいい。俺が千雪を好きなのは変わらない」


仁くんの手が私の頬を包む。
水に濡れた手がひんやりとしている。

額から頬へと移動する唇。


「好きだ千雪。愛してる」


リップ音がなる度に目尻に涙が溜まる。


「わ、たしっ…、」


気持ちが溢れてる。


「すき…です。すき、」

「俺も好きだ。千雪」


ずっと好きだった。言いたかった。
たくさん言いたかった。



「もし嫌なら今度はちゃんと拒んでくれ」



近付く顔。あの時と同じ。



「くしゅんっ、!」



唇が触れるギリギリのところで、台無しにしたのは私。


「ごめ、なさ……ひゃ!」


お姫様抱っこされた。そのまま池から上がり、駐車場の方へ向かう。

だ、誰もいないですけど…流石に恥ずかしいです。


「じ、じぶんで…!」

「…黙ってないと、舌噛むぞ」


吃驚して口を塞いだ。

さっき降りた所に車がいた。
でも今乗ったら濡れてしまう。


「あ、あの濡れ…」


話は多分聞こえてる。だけど、無視されそのまま座席に座らせられた。


「ぬ…濡れます!」

「いい。後で変えればいい」


そ、そんな簡単な話では…!

乗り込むと車はゆっくり発進した。


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