白雪姫は寵愛されている【完】


───────変な夢を見た。
”オオカミ”に食べられる、そんな物騒な夢。

覆いかぶさる狼に精一杯もがいた。だけど、大きく口を開けた狼に敵う訳もなく───────、




翌朝、目が覚めた時には朔也くんは玄関で靴を履いていた。


「おはよう。白雪。いい夢見れた?」

「おはよう…えっと、うん。多分」


怖かった気がする。でもそれも良く分からない。


「俺はもう出かけるけど、長時間出かけないようにね」

「うん。行ってらっしゃい」


休日出勤の私服の朔也くんも格好いい。

玄関が閉まるまで私は笑顔で手を振った。



「───────10時だし、そろそろ出かけようかな」



そう言ってクローゼットを開けた。取り出すのはお気に入りの一着。

朔也くんが初めてのお給料で買ってくれた、白のドット柄のワンピース。


ブランド物で、身の丈に合わないもの。
でも…朔也くんが一緒に行って買ってくれたから。

今日はそこまで長い間居るわけじゃないけど…少しだけお洒落してみようかな。



しっかりと施錠し、マンションを出る。



今日は学校はお休み。だけど図書館は祝日と年末年始以外なら毎日やっている。

生徒専用室は入れないけど、他にも見たい本がある。
昨日読めなかったモヤモヤを違う本でスッキリしよう。


でもまずはシャンプーと本を買ってこないと。その後でゆっくり本を見ることにする。


駅前のビルにはお洒落な女の子が沢山。キラキラしている人達を俯き気味に通り抜ける。

いつも通りのシャンプーを買って、誰も通らない階段を駆け下り素早く外へ。

ふぅ、なんとか買えました。後は少しだけ本屋さんに寄ってみようかな。


……あれ、は。



見たことある黒い車が目に留まった。


朱雀の車…?
何か活動があるんですね。

大変そうですけど…頑張ってほしいです!

段々と”族”から”部活”みたいな認識になりつつあった。


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