虐げられた令嬢は貴公子の夢を見る ~気がついたら幸せな結婚が決まっていました~
「ではこれを」
 アーロンが手を振ると、ジュエリーケースが現れた。中の指輪を取り出し、セレスティーンの左手をとってその薬指にはめる。いつか彼がプレゼントしてくれようとしたバイオレットサファイアだ。

「ぴったりだ。君にとても似合っている」
 その手を持ち上げ、アーロンが口づける。
 セレスティーンの瞳から光る雫が零れ、アーロンはそれを優しく拭った。

「出会ったときからずっと、俺は君の虜だ」
 見つめる彼の顔が近づき、セレスティーンは目を閉じた。
 その唇が優しく重なる。

 ひゅるる、と音がして、夜空に光の花が舞った。
 やや遅れて、どーん! と大きな音が響く。

 離れた彼は、目を細めて次々と打ち上がる花火を眺めた。

「祝祭の終わりを告げる花火だな」
 見ると、東の空がしらじらと明るくなっていた。

「さあ行こう。必ず君を幸せにする」
「はい」
 セレスティーンはその手を握る。

 アーロンが指を鳴らすと、バルコニーの向こうにガラスの馬車が現れた。馬車をひくのは二頭のユニコーン。御者の頭には羊のような角が生えている。

 バルコニーに白い階段がかけられ、セレスティーンはアーロンに手を引かれて馬車に乗る。
 馬車は、花火の舞う夜空に向かって空中をかけ、やがてその姿を消した。

 東の空には新しい一日を告げる太陽が地上を照らし始めていた。



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