愛したがりの若頭と売られた私
「―――――初めまして。堺部です!
若から、茉咲さんの護衛を仰せつかりました!」
バイトが終わり、外に出ると堺部が挨拶してきた。

「あ…はい」
(うーん…堺部さんは、ヤクザさんって感じかも…)

童顔で可愛らしい顔をしている夜凪。
爽やかな紳士池治。
他の部下達も、爽やかな男性ばかりだ。

もちろん、茉咲の前だから気を遣っているのはわかっている。

でも目の前の堺部は、かなり恐ろしい。

「あ…大丈夫ですよ!」

「え?」

「若の大事な女に手を出さないし、そんなバカは組の中にはいないので」

「あ、いえ…」
(そんなこと思ってないけどな…
でも………)

「大事な女…」

思わず呟くと、堺部が笑った。

「はい!
初めてなんですよ?
“あの”若が、女を大事にするの」

「そうなんですね」

「俺の口からは詳しく言えないけど、安易に人に情を持つ方ではないので」


それから堺部に車で送ってもらい、自宅マンションに着いた茉咲。

少しゆっくりして、夕食の準備に取りかかった。
キッチンに行く前に、テーブルに料理本を広げる。

魚料理の様々なレシピが紹介された本だ。

魚料理が好きと言っていた夜凪のために買った本。
茉咲が好きな料理人が出している本で、なかなかネットでは検索出来ない。

冷蔵庫の中身を確認しながら、何にしようか考える。

「………よし!」
メニューを決めて、キッチンに向かった。

ある程度準備して、後は夜凪が帰ってきてから焼くだけだ。
ソファに座り料理本を見ながら、夜凪が帰ってくるのを待つ。

茉咲は次第にウトウトしてきて、うたた寝をしてしまったのだった。

そして――――――

夜凪がマンションに帰ってくる。
「では若。
また、お迎えに来ますので」

「ん」
軽く手を上げ、マンション内に入った。

夜凪は基本的に夜遅くまでだ。
なので夕食を食べに一度帰り、寝かせてから、また仕事に出ていくようにしている。

茉咲をできる限り一人にしたくないのと、できる限り茉咲と一緒にいたいからだ。

「―――――ただいま〜茉咲ー!」

声をかけながら入るが、茉咲からの返事がない。
首を傾げながら入ると………

「あ…可愛い…//////」

ラグの上に座り、料理本が広げられたテーブルに伏せるように眠っていた。
< 21 / 43 >

この作品をシェア

pagetop