愛したがりの若頭と売られた私
そして次の日。
ミハナに誘われ、茉咲はランチに出かけた。

堺部にファミレスに送ってもらい、中に入る。
先にミハナが来ていて、大きく手を振ってきた。

堺部も違う席に座る。

「ミハナちゃん、お待たせ!」
「うん!
何食べる〜?」

メニューを開き、注文する。

しばらく、他愛のない話をして……

ミハナがさりげなく言った。
「あ!○○(ブランド名)の新作バッグあるじゃん?」

「うん、可愛いよね!」

「欲しくて、やっとお金が貯まって、昨日デパートのATMでおろそうとしたの。
でも、おろせなくて……」

「え?どうして?」

「故障?
わかんないけど…」

もちろん“この話は嘘”

「え?私はおろせたけどな…」

「え?茉咲ちゃんも、ATM行ったの?」

「あ…うん…
それが………」
茉咲が堺部をチラッと見て、ミハナに顔を寄せた。

ミハナも少し、茉咲に顔を寄せる。
そして茉咲は、全てを話したのだ。

「…………それ、旦那さんに話したら?」

「え?でも…」

「妹さんのために茉咲ちゃんがそこまでしなくてもいいじゃん!
妹さんに散々な目に遭わされたこともあるのに…」

「でも、その子達は悪くないし…
夜凪さんに話したら、きっと“放おっておけ”って言われそうなの…」

「………」

「ごめんね…心配かけて…」

「…………私もごめん…」

「え?」

「あ…ううん…
――――――――……ほんと、ごめんね…」


そして………その結果、ミハナによって夜凪の耳に入ったのだ。

次の日茉咲は約束通り、トイレの棚の奥に封筒を忍ばせた。
そしてバイトが終わる前、棚の奥を確認すると“ありがとうございました!助かりました!”と書かれたメモ紙が置かれていた。

ホッと肩を撫で下ろす、茉咲。

安心したようにバイトを終えた。


その日。
夜凪が、一度帰ってきた。

いつものように出迎える茉咲を抱き締め、頬擦りをして愛でる。

一緒に夕食を食べ、風呂に入り、ベッドに横になった二人。
いつもなら、ここで夜凪の腕枕で頭を撫でられながら眠りにつく。

しかし――――――

突然、組み敷かれた。
「え……夜凪…さん?」

「茉咲。
“僕に話すことない?”」

「え?」

「あるでしょ?」

「そ、それは…」

「正直に話さないと、失神するまで抱くよ?
あ、失神しても止めないよ。
何度も起こして犯す。
茉咲がいくら泣き叫んでも、止めないからね」

「………」

「ほら、茉咲。
話して?
僕は“茉咲の口から”聞いたい……!」

ゆっくり、頭を撫でられる。
その手には、凄まじい重みが感じられた。

あぁ…私は……

この方に“逆らえない”

そして結局、自身の口から夜凪の耳に入れることになったのだ。

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