お邪魔虫にハッピーエンド


 中学一年生。
 体型も変わることなく肥満児で、友達も3つ離れたクラスにいるユキだけ。

 景とは、教室のある階がわかれていたので、なかなかすれ違うこともなかった。


 中学時代の私は、いわゆる漫画オタクだった。
 一番好きなジャンルは少女漫画。
 部活に入ることもなく、帰宅部だった私は自分の部屋で漫画ばかりを読んでいた。

 小学校と同じように、こそこそと体型のことを笑ってくる人もいたけど、表では気にしないふりをした。

 その裏では、痩せたくて密かにダイエットを始めてみたりしたけれど、やり方が極端だったのか余計に太ったのである。


『逢沢さんて、景くんと幼なじみなんでしょ? 連絡先おしえてよ』

 中学に入ると、そう聞いてくる女子が驚くほど増えた。

 呼び出しから、告白、ラブレターまで。
 時には二年生、三年生の先輩からも。


 小学校の頃からサッカークラブに入っていた景は、中学ではサッカー部に入部した。

 それからどんどん身長も伸びて、さらにモテるようになって、景と付き合いたいと思う子は多くいた。

 でも、景は恋愛にまったく興味がなくて。

 サッカー一筋の景に告白をして玉砕した子は、数えるのも億劫なほど多かったのである。



 中学二年の春。

 景から、右脚を怪我して今までのようにサッカーができなくなることを聞いた。

 試合中に起きた対戦相手の選手の反則プレーが原因だった。


 小さい頃は家や公園で、小学校ではクラブ、中学では部活。
 サッカーが自分の一部だと思っていた景にとって、最悪の結果だった。


 部活を退部した景は、見るからに元気がなくなっていって……学校では近寄り難い空気で一人でいることが増えていった。

 まるで感情に蓋をしたように、景は怪我の原因を作った相手選手を怒ることも、泣くこともなく。

 ただ、ぼうっと過ごしていることが多くなった。

 その様子が、まるでどこかに消えてしまいそうで、私はたまらなく怖かった。

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