テクニカルラブフォール


 不本意であるが、終業のチャイムが響くと体育館へ向かった。擦れ違う生徒等は楽しげ気な雰囲気が漂い、部活動に所属しないのも一つの選択だと思う。

 放課後はデートやゲームセンターへ寄ってプリクラを撮ったり、流行りのスイーツを食べてみたり。私も学生の頃は帰宅部だったし。
 ただ私が情熱を傾けられる事柄に出会ったのは社会へ出てからで。

(それが仕事だったなんてーーね)

 帰宅部であったのを後悔はしていない一方、もっとチャレンジしておくべきだったかもしれないとは考えてしまう。

「月見里先生!」

 ファイルを抱えた生徒が近付いてきた。

「レスリング部の青井です。先生が今日からサポートしてくれるって聞いて、迎えに来ました」

 ひょこひょこ引きずる足を見過ごせす、無意識に彼女から荷物を預かる。

「捻挫? あまり歩き回らない方がいい。安静にしていなさい」

「ふふっ」

「何で笑うの?」

「月見里先生、マジメだなぁって。顧問になるのを嫌がってたのに時間通りに来るとか」

 青井と名乗る生徒と面識はないが、彼女はこちらを知った風に目を細め、それは決して皮肉めいた意図を含まなかった。
 青井さんの瞳は大きく、真っ直ぐ。それでいて何処か寂しそう。

「それに昼休み、図書室でレスリング関係の本を借りてました?」

「……見られてたのね」
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