【完結】あいつは悪魔王子!~悪魔王子を召喚しちゃった!?魔術クラブ結成!都市伝説『追いかけ鬼』をやっつけろ!~

 子ども達の恐怖を今まで吸収してきた。

 今までで一番巨大だ!
 更に人間を一人でも食えば、ザボは力を完全に取り戻すだろう。

「ひぃ!!」

 悲鳴はどうにか押し殺して、女の子は走り出した。
 追いかけ鬼も、顔を引きずるようにして一気に加速する。

『までぇえええええ!』

 普段は走ってはいけない廊下を走る! 走る!

 まさに鬼の形相の追いかけ鬼が一口で飲み込もうとするが、ガチン! ガチン! と空振りして噛み付く事ができない!

 追いかけ鬼も理解できない。
 どうしても追いつけない!

「すごい! あたし! これなら大会でも一等賞だよ!」

 一瞬、非常口の明かりに照らされた女の子の顔はリィだ!

 リィが光の体操着を着て走っていた。
 光の体操着はリィの体格だと小さくて、ピチピチだけど構わず走る!

 リィの走りで、展示物のポスターが揺れる。
 
 ガッチン! ガッチン!
 後ろで歯の音が聞こえて、光とラーが言っていた臭い匂いが背後にまで近づいてきた。

「ひぇええええ! そろそろ限界だってば! あたしもぉ!」

 リィが陸上部代表の足で、更に廊下を駆け抜ける。
 そしてルルが描いた目印を見て、ジャンプ!

『までぇええええ!!』

 顔を引きずらせながら走ってくる追いかけ鬼。
 リィがジャンプした足元には、特製スライムが大量に#ステイ_・__#されていたのだ。

『ぼぐわあわぁああ!?』 
 
 ぬるぬるスライムに足(顔)をとられて、追いかけ鬼はゴロゴロと転がった。

 さっきまで追いかけていたリィの姿は、もうない。
 しかし追いかけ鬼はそんな事で泣いて消えたりはしない。

『ぼがかああぁあああああ!!』
 
 更に怒りの叫び声をあげて、牙を剥き出した。
 かすかに残る匂いで、階段を降りていった事が追いかけ鬼にはわかった。
 追いかけ鬼は、スライムまみれのまま獲物を追いかけようとする。

「おい! 次は俺が相手だぜ!!」

 しかし、そこに空太が隠れていた教室から飛び出した!

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