【完結】あいつは悪魔王子!~悪魔王子を召喚しちゃった!?魔術クラブ結成!都市伝説『追いかけ鬼』をやっつけろ!~

 追いかけ鬼にくっついていたスライムは、全部落ちている。
 きっとまた体育館で、ひとつに集まっているはずだ。

 だから、追いかけ鬼には容赦はしない!

「サンダーアロー!!」
 
 折り重なった追いかけ鬼は、一撃だけで弾け飛ぶ。
 燃えカスの呪符も、今度こそ燃え尽きて消えていった。

「やったぁああ! 光が勝ったぞ!」

 遠くでみんなが走って、駆け寄ってくるのが見えた。
 どうやら、みんなには麻那人の姿は見えていないようだ。
 ふらりとし倒れそうになった光を、麻那人は支えて地面に座らせた。

「……麻那人、ごめん。助けにこさせちゃった……」

 此処に麻那人が来たという事は、麻那人は光を助けるためにザボの追跡を諦めたということだ。

 安心なのかごめんという気持ちからなのか、光の瞳からがポロポロと涙が出てくる。
 でも麻那人はにっこり笑う。

「大丈夫。今から行ってくるよ」

「追えたの……?」

「なんとかする大丈夫」

 麻那人は黒いハンカチを泣いてる光に渡した。

「こんなに光も、みんなも頑張って追いかけ鬼を退治したのに、僕だけが失敗したなんて許されないよ」

 バサァっと麻那人のマントが大きく広がってなびく。
 瞳が不思議に輝いて、微笑む口から牙が見えた。

「だって、僕は悪魔王子だからね」

「麻那人」

 そう言うと、麻那人は一気に飛んでいった。
 
「麻那人……」

 光はこれから、麻那人がザボと戦う事がわかった。

 そして今日がお別れの日なのかと思うと、一気に光の心に寂しさが浮かぶ。
 泣きそうになってしまうけど、それでも麻那人の姿を目で追うしかできない……。

 いや、泣いてるだけじゃダメなんだ。

「光!? どこへ行くの!?」

 光は目をこすって涙を拭うとまた走り出した。
 
 裏山が光ったのを見て、麻那人は裏山に行ったんだとわかった。
 光は麻那人を追いかけた。
 
  
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