元体操のお兄さんとキャンプ場で過ごし、筋肉と優しさに包まれた日――。
 勢いよくといっても、ふわっと、触れる面積が最低限になるように。

 私の頬がお兄さんの胸板に当たる。
 とても硬い――。

 服の上からだと着痩せするタイプなのか、あんまり筋肉を感じられないけれど、かなり中心部も鍛え込まれていて本格的?な筋肉だと思う。お兄さんの筋肉を堪能していると、お兄さんの両手が私の背中に来る。

 しゃがみながら抱きしめられている状態で、なんか天国。

「美和さん、連絡先交換しませんか?」
「は、はい! します、させてください!」

 速攻でお兄さんから剥がれ、私はスマホを鞄から出した。そして念願のお兄さんの連絡先を手に入れた。

「良かった! ずっと美和さんと連絡先交換したくて、でもなかなか言えなくて」

 私もずっと、お兄さんと連絡先を交換したいと思っていた。
 これからも、お兄さんとずっと繋がっていられたらいいのになって――。

 
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