シリアル・ホラー
「な…… なんでもないです」
「刑事さん、この子今日はもう許してやってもらえませんか? きっと疲れてるんです」

 信楽刑事と女性警官は顔を見合わせ、頷いた。

「わかりました。また明日、8時に伺いますのでよろしくお願いします」
「すみません」

 母親が深々と頭を下げている。ボクはその背中をぼーっと見ながら、何も考えられずにいた。

「タクヤ、大丈夫?」
「……うん」
「もう休みなさい」
「うん」

 ボクは自分の部屋へ行き、ベッドへ横になった。
 さっきのはなんだったんだろうか。刑事が急におかしくなって、ボクを責め立てた。妄想で人を殺すなんて、あり得るわけないじゃないか。でも実際に南先生は、以前ボクが妄想した通りの死に方で死んだ。しかもなぜか、ボクの家のテーブルの上で。
 ボクはやってない。それだけは確かだ。
 しかしそれは本当か?
 本当にボクはやってないのか?
 自分では気づかないうちに、殺人を犯していたら?
 人を殺したことを自分では認められず、現実から目を逸らしているだけでは?
 さっき刑事が急におかしくなったのは、そんな自分の心の罪悪感がそう見せたのでは?
 わからない……
 わからない……
 ボクはそのまま眠ってしまった。
 夢も見ない、深い眠りだった。
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