推しにおされて、すすむ恋
さー、寝よねよ。
一分一秒でも寝ておかなくちゃ、もったいない!
そう思っているのに。
寝不足で眠たいはずなのに……。
頭の中が、変に冴えてる。
脳内にいるのは、あの二人。
ステラとノア。
お姉ちゃんと綾瀬くん。
二人って、どういう関係なんだろう――――
「ず、小鈴――小鈴さん」
「んぅ……?」
目を開けると、電車がナナメに傾いていた……あ、ちがう。これ、私の体がナナメになってるんだ。
いつの間にか寝ちゃったみたい。
今、どの辺だろう。
「おはよう小鈴さん。もう到着するから、そろそろ起きとこうか」
「……んぇ…………えぇ!?」
見上げると、キャップとマスクをつけた、私服姿もカッコイイ綾瀬くんの姿。
少し見惚れた後。彼の肩に私の頭が乗っていることに気付いて、急いで体を起こす。
「わぁ⁉ごごご、ごめんね!重かったよね!?」
「ううん。よく寝られたみたいで良かった」
ニコリと笑う綾瀬くんの横には、私と同じく膨らんだカバン。いかにも「これからお泊りです」っていう大きさだ。
あぁ、やっぱり〝そう〟なんだ。
「綾瀬くんが……ノアなんだね?」
「うん。そうだよ」