もう一度
「あの…」

グループではおとなしめな奈々が話を切り出した。

「私、詩音君が好きで、告白…す、る。からさ。だれか、一緒に来てほしい。」

しどろもどろになりながらも言い切った。

うっ。ズキリ。友達と好きな人が被ると気まずい。

奈々はグループで結構話が合う。
なおさら気まずい。

「あの…好きな人いないなら、ゆい。一緒に来てくれない?」


ええっ!まさかの私?

けど、断る理由も、あるけど!いえない……

「い、いいよぉー!」

トーンを上げて言う。


「やった!早速今日サッカー部のあと、お願い!」


そっか。ツートップはサッカー部だもん。

サッカーしてる詩音くんもかっこいいんだ。


胸が痛むけど、

「いいよ。」

ああっ!…さようなら。私の初恋……


「いいねぇ!」
「頑張って!」


他の人もおだて始めた。肩にっ!重荷が!

「じゃあちょっと私席外すね!」

奈々が席を離れた。

「ねえ!そろそろ練習終わるみたいだよ!」


「なら、ゆい、いこ…。」

少し前に戻ってきた奈々が緊張しながら切り出す。

「うん。」

ちょうど詩音くんたちは着替えて帰るところらしい。



「詩音くんっ!」

奈々が呼びかける。

「どうしたの?」


完璧なアイドルスマイルにキュンとしてしまう。


「ちょっと話があって…。」
「いいよ。」


赤らんだ顔で言う。


そばにいる私としては気まずいとしか思えないんだけど…



「詩音くん…す、好きです!付き合ってくれませんか…?」

わっ! 言った!
奈々はおとなしいけどいざと言う時とても勇気がある。

「ありがとう。でも気持ちには応えられない。ごめんね。」


詩音くんは本当に申し訳無さそうに言葉を続ける。


ほっ。



「ほんとにありがとね。」
「いえ!」

奈々は悲しかったのか俯いているけどこたえる。
すると、私を置いてだっと走り去っていった。

「あぁっ…」


行っちゃった。

「えっと、君もごめんね。」


奈々が振られてほっとしたって、私最低。


そんな自分に嫌気が差す。

詩音くんと二人きりなこの空間で


気づいたらこう口走っていた。
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