神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜
長かった1時間30分が、ようやく終了した後。

「わーい。面白かったー」

ベリクリーデは、ご満悦で映画館から出てきた。

…良かったな。

「まじかるうぃっち、可愛かったね」

「…そうか…。…良かったな…」

「あのね、緑のまじかるうぃっちが可愛かった。ジュリスとクロティルダは?」

「いや、俺は別に…」

「俺は青が好みだったな」

真顔で答えるんじゃねぇ。このロリコン天使。

こいつ、一般人に混じって映画を楽しんでやがる。

「必殺技の魔法が凄かったね。まじかるビーム!って」

「俺はそれより、空飛ぶホウキに興味かある。さながら、イーニシュフェルトの里で作られた『眠れる森の魔女』のようで」

だから。いちいち真顔で考察すんなっての。

駄目だ…この二人の会話についていけない。

同じ映画を観ていたはずなのに、何故こうも違うのか。

「さて、それで、これからどうする?」

「うーん、そうだな…。ジュリス、どうしよう?」

え?

二人して、俺に意見を求めてくるなよ。

でも、そうだな…。

「…とにかく疲れたから、ちょっと、何処かで休憩したいな…」

「休憩だって。何処か休めるところ…うーん…」

近くに喫茶店とか、ファミレスでも良いから。

そういうところに入って、少し落ち着いてお茶でも、

「あ、見て。ジュリス、あのお店、知ってる」

「え?」

「美味しいアイスクリームのお店なんだよ。行こー」

ベリクリーデは左手で俺の腕を、右手でクロティルダの腕を、それぞれ掴んで。

ぐいっ、と強引に引っ張った。

ちょ、ま、何だよ。

ベリクリーデの視線の先にある、アイスクリームのお店、とは。

「…!あ、あれは…!」

「前も一緒に、ジュリスと食べたよね」

忘れてないぞ、俺も。

以前、小っ恥ずかしい目に遭わされたアイスクリームショップ。

その名も、『アイスクリームショップ メルヘン♡スイート』。

その名の通り、店員の制服も、店内の装飾も、アイスクリームのフレーバーも。

とにかく、何もかもがメルヘンなアイスクリームショップである。

ちょ、また入るのが恥ずかしい店を…!
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