神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜
「…ちらっ…」

俺は、助けを求めて隣のルイーシュを見たが。

「もぐもぐ」

ルイーシュは、我関せずとばかりにカレーライスにぱくついていた。

畜生、この薄情者…!

すると、焦らされたジュリスが、露骨に顔をしかめた。

「…何だよ。お前まで、俺に隠し事をするのか?」

「えっ…?」

「あいつと一緒だな。俺に言えないようなことがあるのか」

「…」

ジュリスの言う「あいつ」が誰かは、明白である。

…なんか、俺、また地雷踏んじゃった?

「あいつもな、俺が声かけても何も言わないんだ。隠し事ばっかしてさ。おまけに、あのクソ天使と…」

クソ天使呼ばわり。

「お前もそうなんだろ?キュレム。そんなに俺が信用出来ないなら…」

「そ…!そんなこと思ってないって。信用してるよ」

「はっ、口では何とでも言えるからな」

…駄目だ。ジュリスの奴。

完全に、心が荒んでやがる。

ジュリスは、もうこの話は終わり、とばかりに。

そっぽを向いて、うどんをずるずる啜っていた。

俺も、同じようにカレーうどんを啜ったが。

折角のカレーうどんなのに、もう全然味が分からない。

ジュリスが発する負のオーラのあまり、周囲に誰も寄り付かない。

まさに、針のむしろ状態。

…すると、そこに。

「ジュリス。いる〜?」

…めちゃくちゃ空気が悪くなった、最悪のタイミングで。

件のベリクリーデが、食堂にやって来た。

その瞬間、食堂内の空気が凍りついた。

食堂内にいた魔導師達が、ぎょっとしたようにベリクリーデちゃんの方を向いた。

俺も、ひぇっ、と声が出てしまった。

同時に、恐れていたことが起きた。

啜っていたカレーうどんが、びちゃっ、と丼の中で跳ねた。

カレーうどんの汁が、俺の制服にシミを作った。

あぁぁ…。やってしまった…。

「ジュリス〜。ジュリス〜。何処かな?」

それなのに、食堂の凍りついた空気になど気づかず。

ベリクリーデちゃんは、きょろきょろと食道内を見渡した。

…どうやら、ジュリスを探しているらしい。

そんなベリクリーデちゃんの姿を見て、ジュリスも、思わず驚き。

箸を動かす手を止め、ベリクリーデちゃんを見つめた。

ベリクリーデちゃんも、ジュリスに気づいたらしく。

「あ、ジュリスだー」

ちょこちょこ、とジュリスのもとに走ってきた。

「ジュリス〜。ジュリス〜」

「…ベリクリーデ…。…どうしたんだ?」

「あのね、これ、プレゼント!」

と言って。

ジュリスの頭の上に、ゴミをぽんっ、と乗せた。
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