北帝連―Taiju×shinobu編
そしてこの日、本屋を出た帰り道で、あの事件は何の前触れもなく起こった。
「なにあのバイク。なんかスゲーな」
商店街の裏道を歩いていると、細い路地に隠す様な感じでハデな改造バイクが停まっていた。
「族車じゃん」
「族車だな」
どこからどう見ても暴走族が乗っていそうな、主張の強い250ccの単車。
タンクの横にはチーム名らしき辻霧(ツジギリ)と書かれたステッカーが貼られていた。
「ピンクのバイクとかスゲーな。
女かな、持ち主さん」
「‥おい、触んない方いいんじゃねえか」
すると次の瞬間、
メイン通りから急にこちらの裏道へ入って来た二人組みの男と、俺らは鉢合わせる感じで遭遇してしまい、俺は慌ててバイクから手を引いた。
「なにやってんだよ、お前ら」
「‥え、いや‥‥」
パンチパーマにサングラス。まるで暴力団かの様な風貌の男に詰め寄られ、俺はあまりに突然の出来事にパニックに陥った。
「俺の単車、触ってたろ?」
「‥‥‥」
「シカトしてんじゃねえよ、答えろ」
「す‥すみません、少し‥‥」
すると、もう一人の男が単車を見ながら白々しい声を上げた。
「あ~らら、傷ついてんじゃん、ココ」
「‥‥え」
「ヤスオ~、見てみ、ココ」
「お~、マジじゃん。
ヒデーことすんなぁ、中坊」
「えっ、俺は傷なんて‥‥」
「付いてんだろ、完全に。
全塗し直しだな、これじゃ」
「知り合いに頼んだら10万位かかんじゃね?」
「大丈夫だろ。
そういうのは普通、傷つけた奴が弁償するもんだし」
「アハハハッ、そうだな」
「‥‥‥‥」