御曹司たちの溺愛レベル上昇中


とりあえず見つかって良かった、と雪さんと響くんは胸を撫でる。

わたしの好奇心がこんなことになるとは……


「こーやなーぎぃ!」

「あ、颯くん……うっ!!」


メガホン片手に物凄い形相で歩いてくる颯くんに、わたしは半歩下がった。

明らかに心配させるようなことをしたって自覚はあるけど……今までに見たことのないようなお顔……!


「"あ、颯くん"じゃねぇよ、どこ行ってたんだ!」

「……た」

「た?」

「たん、けん……をシテマシタ」


ずいっと眉間にシワのよる顔で詰め寄られ、一気に冷や汗が出たわたしはかたい表情で返した。
すると、颯くんの顔がより険しいものへと変わる。


「お前なぁ……」

「でも琉衣ちゃん居ないの分かって、すぐに血相かえて探す!って走っていったのは颯だよね」

「そうなの?」

「んなっ!?べ、別に!?お前が心配だからとかじゃなくて!た、ただ!ツボとか割ったら大変だなってだな……」


雪さんの言葉に颯くんは一瞬にして真っ赤に……
ふん、と顔をそらし目を伏せた。
それを見て雪さんと響くんは顔を見合わせてクスクスと笑いだす。


「……とまぁ、今の颯くん語を訳すと、とても心配だったぞ、ってことですね」

「俺もそう思う」


「うるせー!つか響、颯くん語ってなんだよ聞いたことねぇよ」

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