背中
第十三章 始まった

虚ろな季節

土門は地元の建築会社に就職した。


そこには兄やケンジの背中を必死で追う、そんな熱い季節はやって来なかった。


ただただ、いたずらに毎日が過ぎていくだけ。

下げたくもない頭を下げたくもない相手にさげ、へばりついた笑顔を浮かべるだけ。


そんな酸欠の中、ジリジリと心が焦げていく。

たった一ヶ月で、心はブサブサになった。



こんな毎日があと数十年!



土門は涙が出そうになった。
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