メガネを外したその先に
コロコロと変わる表情は、見ていて飽きない。

映画の最中も泣いたり笑ったり忙しくて、スクリーンより隣のコイツに目が向いてしまったくらいだ。


希をマンションのエントランスまで送る。

家の前まで来て、ぎゅっと俺の腕を掴み直す彼女はあまりにわかりやすすぎる。


「せんせ、」

「先生じゃねぇだろ」

「あっ…、りゅうや」


呼び方に慣れるまで、大分時間がかかりそうだ。


「もう少し、いっしょにいたい」
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