婚姻は溺愛のハジマリ〜御曹司と契約結婚したら突然ママになりました〜
「ミナね、ホットケーキ焼いたよ!一緒に食べようよ、パパ!待ってたの!」
「あぁ…その前に、絢音のことを、」
「あのね?パパは生クリームね?ミナはメープルシロップいっぱいかける!!」
律希さんの手を引いて奥へ向かおうとするミナちゃん。
私の存在を”無”として扱う彼女は、この場の誰よりも大人だと思った。…賢い選択だと思う。無理に仲良くしようなんて、思う方が疲れる
『……お邪魔します』
小声でそう呟いた私に、前方にいる律希さんの声がとんでくる
「─…邪魔じゃない、ここは今日から絢音の家だって言っただろ?……おかえり、絢音」
振り返って私の目を見てそう言ってくれる律希さんは…普通にいい人だと思う。不器用なところはあるけど、人としては…まぁ、いい人だなぁって思う瞬間がある。
──…例えば、
彼の家に挨拶に行った日、続けて同じ日に私の家にも挨拶に来てくれた律希さん。その時の彼の立ち居振る舞いは、誰がどう見ても…律儀な素敵な婚約者─…
【初めてお邪魔させて頂くのに…突然で
誠に恐縮ではございますが、絢音さんと
結婚させて頂きたく、ご挨拶に参りました】
丁寧すぎる言葉に、うちの両親は姿勢を正して瞬きを何度も繰り返して困惑していた。
「あの…失礼を承知でお尋ねしますが、、ウチの絢音のどこに惹かれたのでしょうか?我が子ながら…正直貴方のような素敵な方に相応しい人間だとは到底思えないのですが…」
しばらくして口を開いた父親の発言に、ツッコミを入れたくなったが…その前に律希さんの俳優顔負けの猛烈な名演技が始まる。
「絢音さんは、僕が出会った中で一番の女性です。外見や中身がどうとか、そういう言葉で言い表すには難しいですが…強いて言うなら、彼女の明るくて天真爛漫な性格にはいつも心が救われております」
──…明るくて、天真爛漫?
出会ってからまだ三日目でそんな言葉が出てくるなんて─…全く、嘘がお上手ですね?