花隠し


.


「姉さん、機嫌直してください」


「……それは守助のほうでしょう」




部屋の隅で膝に顔をうずめる私に、守助は絶え間なく話しかけてくる。



少し放っておいてほしい。



一人になりたいのに、守助がそれを許してくれない。




「はは。俺はご機嫌ですよ、いつでも」


「うそつき。ちょっと怒ってた」


「そりゃあそうでしょう。また無謀なことをしでかそうとした命知らずな姉様を黙って見過ごす弟がどこにいますか」


「……あの人と一緒にお山に捨てられても、意地で戻ってくるもん」


「おもしろい夢物語ですな」


「本気。ふたりで戻ってくる」


「バカなんですか?」




数センチ、守助が距離を詰めてくる。



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