花隠し


「狂った人間に、選べる道など無い」




守助の放った悲しい現実。



それを誰よりも知っているのは、守助自身だ。



脳裏に浮かぶ母の顔。



狂った彼女は山から戻り、川で死んだ。



青くて冷たい、お母さんの……肌──




「ぅ……」




軽いめまいがして



赤い雫が上履きを濡らした。



咄嗟に鼻を手で覆う。



実里に叩かれた際に出た鼻血が、いまさらボタボタと垂れ落ちてきた。



< 66 / 85 >

この作品をシェア

pagetop