エリートなあなた


――お風呂はぜったいにマズい。それだけは絶対にイヤだ。



ソファで足を組んだ彼の隣に改めて座ると、くすくす笑われて恥ずかしさ倍増。



「…真帆、はやく行こう」


「――イヤです。それだけは」


「まーほっ、」


「うー、…今日はイヤ!」


隣から洋服を小さく引っ張ってくるものの、視線を合わせず断固拒否の姿勢を貫く。



これほど頑なに拒否するのにも理由がある――今の私は食べ過ぎたがために、絶対お腹ポッコリ。いつも以上の残念ボディを明るい所では晒せない。



「…分かった、」


せめぎ合いを続けたところ、1つ溜め息をついて彼が立ち上がりホッと安堵してしまう。



「まぁ仕方ない。“今日は”1人で入ってくる――真帆をベッドで待つのも好きだし?」


「もぉおお!」


「じゃあお先に」


ダークグレイの瞳が一層艶めいていて、取り残された私は鼓動の煩さに苛まれる。



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