こえにだして
エピローグ
 それから十数年の時間が過ぎました。

 あきちゃんに訪れた日常は、皆と同じように、楽しいこともあれば、辛いこともありましたが、それは皆が『あきちゃん」が幸せになるようにと願った思い。生きながら乗り越えた結果なのです。

 少しずつ自由な翼を手に入れ、光に顔を向けて行く姿。

 成長していく『あきちゃん』は幾つのも『声に出して』を経験していきます。
 恋をする人と、綺麗な洋服を着て並び歩き、恋をする人と大人の足で、土や芝生を踏み締め走ります。

 声を出し笑い、食事をする行為は、幼い頃には想像できなかったことです。

 やがて『あきちゃん』は子供を授かります。
 幼い子の寝顔を見て、いくつもの『こえにだして』を『その子』に送ります。

「愛してる。愛してる」と。

 幼い頃に経験できなかった『こえにだして』を誰よりも、何よりも、送り続けるのです。

 その子の小さな手に『そっと』自身の指を近づけます。

 その子を持ち上げるたび、優しく温もりを感じるように抱きしめます。

「愛してる。愛してる」

 やがて『あきちゃん』は経験します。世界で『かけがいのない』の『こえにだして』を、その子からもらいます。

「……まぁんま……」

 光輝く鏡から 、『あきちゃん』の事を知る人は、あの時の彼女のような『想い』を、させることはありません。

 なぜなら、『こえにだして』の意味を心に刻んだからです。

「愛してる。……愛している」

 終わり。
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