無愛想な天才外科医と最高難度の身代わり婚~甘く豹変した旦那様に捕まりました~【職業男子×溺愛大逆転シリーズ】
着替え終えた真紘と一緒に外へ出ると、冬の夜風が容赦なく吹き付けてきて、由惟はブルリと身震いした。
聞きたいことはたくさんあったはずなのに言葉が出てこない。研ぎ澄まされた冬空の下、コツコツとアスファルトを打つ足音だけが二人の間に響いた。
チラリと横に視線を向けると、真紘と目が合った。少し迷って、それから思い切って由惟は口を開いた。
「運ばれた患者さんは大丈夫でしたか?成澤さんがそのまま手術をされたんですよね……?」
「ああ。幸い手術はできて、一命は取り留めた。だがまた出血が起きれば死亡率は跳ね上がる。他の合併症を引き起こす可能性もあるし、絶対に大丈夫とはまだ言えないな」
真紘の声は硬い。
「出血量もそれなりだったから、後遺症が残ることもあり得る。言語障害か、麻痺か、目覚めてからじゃないとわからないが、二度と起き上がれない可能性だってある」
由惟は息を呑んだ。
くも膜下出血が恐ろしい病気だという漠然とした認識はあったものの、そんなに深刻な状況だとは思わなかった。厳しい現実を突きつけられ、無関係の由惟ですら胸を痛めた。
「俺ができる限りのことは全てやったが、どうなるかな……」
やるせなさを滲ませた表情で真紘は空を見上げた。厚い雲に覆われた夜空は、星一つ見えない。
初めて目の当たりにする真紘の弱気な姿に、胸が塞がれる思いがした。
患者の命が自分の手にかかっているというプレッシャーはどれほどのものだろう。由惟には計り知れない。
でも、由惟は知っている。彼がどれほど真摯に患者に向き合っているかを。
真紘はどんなに遅い時間であっても連絡があれば必ず病院へ向かうし、その忙しい合間にも寝食を犠牲にして論文を読み込み、日々知識をアップデートしている。
そんな真紘が治療にあたったことが、あの患者にとっての最善に違いない。医療のことなんてまるでわからないけれど、確信めいたものがあった。
でも言葉に乗せると途端に陳腐になってしまいそうで、由惟は隣で揺れる真紘の手をギュッと握った。
(大丈夫、きっと大丈夫……)
そう何度も祈って。
真紘の大きな手のひらはピクンと一瞬跳ねたかと思うと、すぐに由惟の手を包み込んだ。気持ちが伝わったようで嬉しくなる。
聞きたいことはたくさんあったはずなのに言葉が出てこない。研ぎ澄まされた冬空の下、コツコツとアスファルトを打つ足音だけが二人の間に響いた。
チラリと横に視線を向けると、真紘と目が合った。少し迷って、それから思い切って由惟は口を開いた。
「運ばれた患者さんは大丈夫でしたか?成澤さんがそのまま手術をされたんですよね……?」
「ああ。幸い手術はできて、一命は取り留めた。だがまた出血が起きれば死亡率は跳ね上がる。他の合併症を引き起こす可能性もあるし、絶対に大丈夫とはまだ言えないな」
真紘の声は硬い。
「出血量もそれなりだったから、後遺症が残ることもあり得る。言語障害か、麻痺か、目覚めてからじゃないとわからないが、二度と起き上がれない可能性だってある」
由惟は息を呑んだ。
くも膜下出血が恐ろしい病気だという漠然とした認識はあったものの、そんなに深刻な状況だとは思わなかった。厳しい現実を突きつけられ、無関係の由惟ですら胸を痛めた。
「俺ができる限りのことは全てやったが、どうなるかな……」
やるせなさを滲ませた表情で真紘は空を見上げた。厚い雲に覆われた夜空は、星一つ見えない。
初めて目の当たりにする真紘の弱気な姿に、胸が塞がれる思いがした。
患者の命が自分の手にかかっているというプレッシャーはどれほどのものだろう。由惟には計り知れない。
でも、由惟は知っている。彼がどれほど真摯に患者に向き合っているかを。
真紘はどんなに遅い時間であっても連絡があれば必ず病院へ向かうし、その忙しい合間にも寝食を犠牲にして論文を読み込み、日々知識をアップデートしている。
そんな真紘が治療にあたったことが、あの患者にとっての最善に違いない。医療のことなんてまるでわからないけれど、確信めいたものがあった。
でも言葉に乗せると途端に陳腐になってしまいそうで、由惟は隣で揺れる真紘の手をギュッと握った。
(大丈夫、きっと大丈夫……)
そう何度も祈って。
真紘の大きな手のひらはピクンと一瞬跳ねたかと思うと、すぐに由惟の手を包み込んだ。気持ちが伝わったようで嬉しくなる。