(一)この世界ごと愛したい



ハルとるうが私の身を案じて。


気持ちスピードを落として慎重に走るシロに合わせて走る。




そして国境を越えて、アレンデール国内に入って一番近い街に立ち寄った。




私は怠い身体で意識はまだ保っている。




だって久々の“街”という世界に、胸が躍る。





「宿探してくる。」




そう言って、馬を預けて一人先に街へ入っていったるう。



…私も連れてってほしかったー。








「…二年、か。」


「んー?」


「街並みも変わってやがる。」


「ハルは来たことある街だったんだー。」




私は初めてなのでわくわくしてます。





「俺にとっては、セザールとのあの戦がつい最近のことだ。」


「…そうだね。」


「アルの成長に一番驚いたが。随分変わった城にも、街並みにも、まだ追いつけそうもねえな。」


「ゆっくりでいいんじゃない?」




二年の空白の時間が、あのハルを不安にさせているようで。


焦らずのんびり慣れればいいと私は思う。




「…まだ信じられねえよ。」


「うん?」




私を見ながら、信じられないと言ったハル。








「リン、お前どんだけ辛かったんだ。」




ハルは悔しそうにそう言った。



私の気持ちを誰よりも分かってくれるハルがいてくれて、本当によかった。





私はまた、運河の如く輝く星を見上げる。






「…またハルとこうして過ごせますようにって、何度も何度も星に願ったの。」



「リン…。」






「ちゃんと、叶って…嬉しい。」






ようやく肩の荷が降りた。


そんな表現が一番正しい気がする。





…私の目から、涙が溢れる。







頑張ったよ。


苦しかったよ。


辛かったよ。





全てはこの日までと思って、全てを賭けて戦ってきたよ。









「もう…いいかな…?」


「…っ。」









「ほんとはもう、ずっと消えてなくなりたかったの…。」





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