(一)この世界ごと愛したい



とりあえず高台の麓まで飛んで来たものの。


日も落ちてしまったし、ここを上昇するのは流石に目立たないかなと不安になる。




「どうしようかな。」


「なにが?」


「なにがって…。」



私の悩みはるうには伝わらないようで。



仕方ない。最速でサクッと上がってしまうか。一瞬なら誰にも見つからないと願おう。




「るう、離さないでね。」


「…いいな、それ。もっかい言って。」


「真面目に言ってるんだけど。」




私は火力をかなり引き上げる。


かなりのスピードで上昇する感覚を、るうがまた楽しそうにしている。




…人の気も知らないで!!!





「はい終わりー。」


「え…。」



高台を追い越す高さに達した時、私は纏う炎を消す。


急降下する身体に、るうは若干バランスを崩すが離さないでと頼んだので。



私のことはぎゅっと抱いてくれているまま。




「よく出来ましたー。」



急降下し高台に落下する直前に、ふわりと足が地に着くように私はもう一度炎を放出する。



こうして、目的地に無事到着しました。





「…ここに何があるの?」


「ここには何も。」


「え!?何もないの!?」




一体何しに来たの!?



私は高台から周囲を見渡すと、小ぢんまりした街を一つ発見。でも特段なにもなく。


それならあの街に行く方がよかったのではないかと考える。






「わあ、るう見て!星綺麗!!!」



不意に空を見ると、何にも遮られることない星空が私の視界に映る。


今視界全部が星空で。私は大いに喜ぶ。




「るうは星が見たかったの?」


「俺がそんなメルヘンな頭に見えるか?」


「…じゃあるうはここで何がしたかったの?」




私は星空を見上げたまま、るうに聞く。


るうからの返事はないまま。






この空に、一筋の光が下から立ち昇る。






「え…。」




< 1,229 / 1,300 >

この作品をシェア

pagetop