(一)この世界ごと愛したい
「綺麗…。」
「ん?」
「レンの目は、綺麗な海みたい。」
私は思わず、レンの顔に手を伸ばした。
「姫…?」
「…あ…。ご、ごめんっ!」
私は我に返って、手を引いた。
あー!私なにしてるの!!!
レンもドン引きしてるよなと。心配でチラッと見てみると何故か少し顔が赤くて。
「君は、海が好きなの?」
「本物の海は見たことないんだけど、写真や絵で見た綺麗な海にそっくりだったから。ごめんね?」
「…この目を褒められたのは初めてなんだ。」
「え、こんなに綺麗なのに!?」
「…はぁ。」
困ったようにレンはため息を吐く。
そして私の隣に座って、少しずつ話をしてくれた。
「俺の母親が他国の人で。この目は母親譲りなんだけど、この国ではあまり良く思う人はいなかったんだ。だから生まれて初めてだよ。ありがとう。」
「じゃあレンのお母さんの形見だから、大事にしなきゃだね!」
「…確かに。君はやっぱりすごいね。」
何がすごいのか全然分からないけど。
それでもレンが嬉しそうに笑うから、よかったと思った。
「すごいのはレンだよー。私こんなに腕のいい医術師知らないもん。治してくれてありがとう。これからもよろしくね、先生。」
「……これは、もう君が悪い。」
レンはそう言って、私の額にキスを落とす。