メールチェッカー 【2】

現状は相変わらず、麻生が一方的にアプローチを掛けているといった内容だった。


夫は単身赴任中で東京にいるらしい。

子供と二人で過ごす麻生は、よっぽど暇なのだろう。


男の温もりが遠ざかっている麻生に、早人の優しさは心に響いているはずだ。

自分が女であることを再確認するかのように、早人に色仕掛けのメールを毎日のように送っているのが何よりの証拠である。


「ばっかみたい、このオバサン!」


思わず、画面に向かって憎しみを吐き出す泉美。

身の程知らずの麻生と、それにいちいちいい顔で返信している早人には少し腹も立ったが、恐れていた事態ではなかったことにほっと胸をなで下ろした。

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