メールチェッカー 【2】
先々週赴任してきたこの部長は、とにかくメール連絡が好きな人らしい。
しかも、夜、家に帰った後、暇をもてあましては会社の人間に送りつけているという噂だ。
少しの用件でも携帯宛にメールをするので、周りの人間は皆、煙たがっていた。
だが、どういうことか早人には一切送られていなかった。
「なんだよそれ!俺なんて、一晩に三通も来たんだぞ!」
「あまりに頻繁にメールの返信するもんだからさ、うちの嫁さんなんか浮気じゃないのかって疑うんだよ。
まったく、いい迷惑だよ」
口々に愚痴を並べる同僚。
「どうやら俺は気に入られていないようだな」
余裕の表情を浮かべ、得意げに笑ったのはつい先日のことだ――。
何故だ……。
早人は事態が飲み込めないまま、次々に吹き出る汗を拭くのが精一杯だった。