青空
どうやらこの電車は、東京駅が終点のようである。


電車が止まって扉が開くと、すし詰めになった電車から押し出されるように数多くの乗客が降りて来て、亜季は危なく押し倒されそうになる。

そしてなんとかその流れをやり過ごすして列車に乗り込むと、ようやく空いた座席に腰を下ろして一息をつくことが出来た。


やがて電車の扉が閉まり、亜季を乗せて車両は動き始めた。

車内は先ほどの超満員が嘘のように空いており、亜季は足元に荷物を置くことが出来た。


安心した亜季は小さく息を吐くと、朝日に照らされた外の景色を眺める。


線路沿いには二、三階のビルが隙間なくびっしりと立ち並び、その無機質な光景は田畑だらけの村で育った亜季を驚かせた。


その目の前をものすごい轟音と共に、対向車両がすれ違う。

亜季は窓を激しく揺らすその音にも驚いたが、それよりもその車両の混み具合に驚いた。


今は恐らく通勤する時間であるから、東京駅の近辺で働く人が多いのであろうか。
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