青空
「以上で、お揃いでございますでしょうか。」

そう確認をとる女性店員は、すらりとしていて大人っぽく、亜季は子供っぽい自分を恥ずかしく思った。


そのようないかにも上京間もない亜季の仕草を見て、女性店員は和ませようとでも思ったのであろうか。

亜季の目の前に置いてある本をちらりと見ながら尋ねてきた。


「お客様。アルバイトをお探しですか?」

「は、はい…。でも田舎から出てきたばかりで、どんなアルバイトをしていいか分からなくて…。」

熱く顔を赤らめながら、うつむいたままそう恥ずかしそうに言う亜季の態度に、店員は穏やかに言った。


「初めはわからないものですよ。ごゆっくりお探しくださいね。」

店員は頭を下げると、厨房の奥へと消えていった。


そんな後姿を、亜季は眩しそうに見つめた。
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